俳句やってみよう! 右脳に眠る脳の働きを活性化する
仕事をする中で、論理的かつ客観的に説明する力は大きな武器になります。
しかし、そのような優秀な人は、感覚的な創造力を発揮するのが苦手な傾向もあります。
そこで、右脳に眠っている脳の働きを活性化するために、俳句で共感覚を養ってみましょう。
<仕事がデキル人がもろい場面>
仕事をする中で、物事を客観的、論理的に説明するのが得意な人というのは、一般的には仕事がデキル人として評価される傾向にあります。けれども、そんな有能な人でも、なかなか力を発揮できないケースもあったりするでしょう。
説明能力に長けて、論理的な思考方法に慣れている人の場合、とかく物事を感覚的にとらえたり、直感的な言葉を言い当てたりする、創造的な力が試される場面では意外にもろいことが少なくないのです。
<脳機能局在論>
このことについては、以前から「右脳」と「左脳」のそれぞれの脳の働き方に個人差があって、論理的な人は左脳タイプ、感覚的な人は右脳タイプ、といわれていました。このような脳の働きを分類する考え方は、脳機能局在論という主張から生まれたものですが、今日の研究ではこのような個人の思考の傾向を極端に分類する考え方は否定されています。
とはいえ、一般的な傾向をみる限り、論理的な傾向の人が感覚的な行動に弱く、直感の鋭い人が主観的な考え方に偏ることが多いようです。
ビジネスの世界や社会生活の中では、それぞれ異なる人間同士が、ひとつのルールを共有しているため、論路的に整理して説明できる力が重要になることは確かです。
しかし、直感的なとらえ方を軽視しては、ビジネスの世界では大きな成果を得られないことも確かなのです。
<ビジネスで重要な共感覚>
たとえば、町に掲示されているポスターで、人目をひくようなインパクトの大きいものがあるでしょう。中には、一見して何の商品のポスターかわからないものもあります。わからないのだけれども、インパクトがすごく大きいポスター。 これをデザインした人は、人々の嗜好や興味関心を敏感にとらえて設計したもので、論理的な説明を優先したものではありません。
なぜなら、町行く人々は、商品に関して論理的な説明を求めているわけではないからで、そのような町を歩く人たちの「気分」をわしづかみにするための「共感覚」に働きかける必要があるからです。
このように、ビジネスで必要になる力には、客観的に説明する力だけではなく、クライアントのニーズや気分、感覚的な嗜好を敏感に感じ取る力、いわばやわかな「右脳」の力が重要になることもあるのです。
<直感的なことば選び>
では、論理的な傾向の人が、いわゆる右脳を鍛えるために何か方法はあるでしょうか。そのヒントになるのは「共感覚」です。
たとえば、ひとりの人物像を相手に言葉で伝えるとき、「経済学部卒業で未婚の30代男性」といった客観的な要素を並べるよりも、「見た目は狼のようだがウサギのような男」という表現のほうが、瞬時にその人の人となりが豊かに伝わるのではないでしょうか。
このような感覚を身につけるには、自分の主観が相手と共有できるかどうかを瞬時に統合して言葉を選ぶ訓練が必要になります。
<俳句をやってみよう>
そのトレーニングのひとつとしておすすめしたいのは、俳句の感覚を身につけることです。参考書として『俳句脳 ――発想、ひらめき、美意識』 (黛まどか、茂木 健一郎著、角川one)がおすすめです。
特に著者のひとり黛まどかは、俳句の言葉を生み出す際の感覚と、それを読む人の感覚との共感覚という点を、現実的に語ってくれるので大いに参考になるでしょう。
まとめ
ビジネスに限らず、日常生活の中には、感覚にたよる場面は非常に多いものです。俳句は日本古来の文学ですが、そこに四季を通じて人々が共感できる感覚の泉がたくさん眠っています。
仕事のヒントをつかむためにも、ちょっと一息、自然を見渡して見ましょう。