はじめに
就職や転職のために何か資格を取りたい、と思っている方は多いでしょう。しかし、具体的にはどんな資格を取れば良いのでしょうか。難しい資格が良い、というわけではありません。企業がそれを求めていなければ、まったく無意味なのですから。
ここでは、現在実用的とされる資格や、今後有望視されている資格の中から七つをご紹介します。
ファイナンシャルプランナー(FP)
ファイナンシャルプランナーは、お金が絡む多くの事柄について、総合的にコンサルティングを行います。
たとえば、お金と法律が関係するような件では、税理士や弁護士に相談しても、片方の側の意見しか聞けません。ファイナンシャルプランナーは、時にそうした専門家と連係しながら、複数の意見をまとめた助言を与えてくれます。
この資格では、「金融資産の運用」「不動産の運用」「ライフプランニング」「タックスプランニング」「リスク管理」「相続・事業継承」の6分野について学ぶことになります。
こう書くと難しく聞こえますが、「どのくらいの住宅ローンなら払いきれるのか?」「将来、年金だけで生活できるのか?」「どんな保険に入れば良いのか?」など、多くは生活に関連した事であり、あなたの人生にも役立つ事です。
TOEIC
「就職に役立つ資格」と聞いて、多くの方がまず思い浮かべるのは、このTOEIC(Test of English for International Communication)のような英語の資格なのではないでしょうか。
TOEICテストは、世界の約150もの国で実施されており、したがって世界中で通用する資格と言えます。
これは、教科書的な和文英訳や英文和訳といった技術ではなく、英語でコミュニケーションを取るための能力を測るためのものであり、結果は単なる合否ではなく、最大で990点までのスコアで判定されます。
英語の資格試験に関しては、TOEIC以外にもTOEFL、英検など、いくつもの種類があり、それぞれ難易度やメリットが異なります。自分の目的や能力にあったものを選びましょう。
宅地建物取引士(宅建)
土地や建物の売買や、賃貸借取引に関するこの資格は「不動産業界でしか必要無い」と思われている方も多いかもしれません。
しかし、実際には、住宅メーカーや銀行、保険会社などでもこの資格は求められていますし、どんな業種であっても、会社の不動産の管理や運用の際に必要となってきます。
そのため、多くの企業でこの資格の取得が推奨されており、資格手当が支給されることもあるのです。
また、あなたの能力次第では独立開業という道も開けます。
社会保険労務士
社会保険労務士は、雇用保険や厚生年金といった社会保険に関する手続きの代行や、申請書や帳簿など各種書類の作成、労務管理や社会保険などに関するコンサルティングを行う仕事です。
社会の高齢化が進み、年金や医療制度に不安を感じる方も多い現在、社会保険制度の正しい知識を持つコンサルタントとしての社会保険労務士が注目され始めています。
また、そうした知識は他人へのアドバイスだけでなく、自分自身にも活かせます。
あなたが「退職」や「失業」といった場面に遭遇した時、社会保険労務士の知識や経験は大きな助けになるでしょう。
日商簿記検定(2~3級)
簿記検定には1級から4級までありますが、1級は大学で専門に学ぶレベルのものであり、公認会計士や税理士を目指す方向けのものです。一方、4級はあくまでも入門レベルにすぎません。
したがって、就職の際に求められるのは主に2級から3級が多くなります。
2級は株式会社の経営管理に役立つレベル、3級は商店や中小企業での経理事務に役立つレベルとなっています。
もちろん、可能なら2級を取得した方が良いのですが、そこまで必要無い場合には、あえて3級で止めておいて、その分の勉強時間を他の資格の取得に回す、という手もあります。
経理担当者を目指す場合で無ければ不要な資格だと思われがちですが、それ以外の場面でも簿記の知識が役に立つ事はあります。そうした場合に備えて、3級を取得しておく、というのも良いでしょう。
インテリアコーディネータ
照明から始まり、床や壁などの内装や、家具の選択と配置など、インテリアコーディネータの考える事は多岐に渡ります。
したがって、この資格はさまざまな職場で活かせます。
それは、たとえばリフォームの際のプラン作成であったり、百貨店などの売り場に置けるインテリア配置であったり……また、逆にこうした総合的な観点を活かして、照明や家具のメーカーで個別の製品を作るのに役立たせる、ということもできます。
「何にでも使える」資格は、その人次第で「何にも使えない」資格になってしまうこともありますが、あなたがきちんとした目標を持っている限り、便利な武器になってくれるでしょう。
ケアマネージャー
介護のためのプランを立て、サービスを調整し、そのサービスが正しく実行され、効果がでているのかを監視するのがケアマネージャーです。
サービスを実行するための人員をいくら増やしても、それを管理する側が有能でなければ意味がありませんから、非常に大切な役割です。
この高齢化社会の中、ケアマネージャーの活躍する場面は多く、それは今後も増え続けるでしょう。
「前提となる保険・医療・福祉関連の資格と、実務経験が必要」という点でハードルが高いのですが、すでに介護の現場で働いている方にはお勧めの資格です。
おわりに
資格という物は、持っているだけで採用が決定するお守りではありません。最終的に問題になるのは、やはりあなた自身の能力です。ですが、その資格を持っているという事実は、あなたの努力や挑戦の証明としてプラスに評価されるでしょう。「今よりも良い自分になろう」という向上心は、きっとあなたの役に立つはずです。