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英語通訳士になるには

はじめに

外国からの観光客の増加に伴い、通訳をしながら観光案内をする人を求める声が大きくなっています。さらに、東京オリンピックの開催を控えて、ますますその需要は高まっています。このような背景から、2006年4月に通訳士が誕生しました。

通訳士とは

通訳士とは、通訳案内士のことを言います。通訳ガイドと呼ばれることもあります。外国からの観光客のために、通訳をしながら観光案内をする人のことです。報酬を得ながら通訳士をするには、通訳案内士試験に合格して資格を取る必要があります。資格を得てから、都道府県知事の登録を受ける必要があります。無料ボランティアとして、通訳や観光案内をする場合は、通訳案内士試験の資格や都道府県知事への登録は必要ありません。

2014年度通訳案内士試験での合格者教は、1,658人でした。通訳案内士として実際に登録している人の数は、2014年4月1日現在で17,736人に上ります。 通訳案内士試験の試験科目は英語だけではありません。英語の他に、フランス語、スペイン語、ドイツ語、中国語、イタリア語、ポルトガル語、ロシア語、韓国語、そしてタイ語が試験科目です。 通訳案内士試験を受験できる人は、いくつか欠格事由があるものの、基本的には、年齢、性別、学歴、国籍などに関係なくだれでも受験ができます。

通訳案内士試験では、外国語の能力だけが試されるわけではありません。通訳だけでなく、日本の案内をするわけですから、日本の地理、日本の歴史、さらに産業、経済、政治および文化についても試験科目に入っています。

通訳案内士の試験日程

通訳案内士の試験は、筆記試験と口述試験があります。筆記試験に合格した人だけが口述試験を受けることができ、口述試験に合格すると通訳案内士の資格を得ます。

通訳案内士の試験日程は、平成26年度試験を例にとると、次のようになります。 筆記試験が、平成26年8月24日(日)におこなわれ、この筆記試験の合格発表が、平成26年11月13日(木)にありました。筆記試験に合格した者を対象とした口述試験が、平成26年12月7日(日)におこなわれ、この口述試験の合格発表が、平成27年2月5日(木)でした。

通訳案内士の試験科目

筆記試験は、外国語の試験と日本語に関することの試験の二科目があります。 外国語については、出願者が選択する一カ国語を選択します。ただし、当該年度一つの外国語科目が免除となり、あわせて他の外国語科目の受験を希望する場合や、二つの外国語科目が免除となる場合は二カ国語の申請をすることができます。

英語については、記述式とマークシート方式が併用となっています。英語以外の、フランス語、スペイン語、ドイツ語、中国語、イタリア語、ポルトガル語、ロシア語、韓国語、タイ語については、記述式のみです。 日本語に関することの試験は、日本語による筆記試験です。外国語ではありません。これは、マークシート方式でおこなわれます。

日本の地理、日本の歴史、日本の産業、経済、政治および文化に関する一般常識が出題され、マークシート方式でおこなわれます。 口述試験は、筆記試験で選択した外国語による面接試験です。通訳案内士として働くためのコミュニケーション能力などの適性が試されます。

通訳案内士の受験料

受験手数料は、11,700円です。二か国語を受験する場合は23,400円となります。

通訳案内士試験の試験場所

通訳案内士試験の試験場所は、筆記試験と口述試験で違いがあります。また、日本国外での受験もできるのですが、選択した外国語により試験場所に違いがあるので注意が必要です。 筆記試験は、日本国内では、札幌市、仙台市、東京近郊、名古屋市、大阪近郊、広島市、福岡市、那覇市でおこなわれます。

日本国外では、ソウル市(選択外国語は韓国語のみ)、 台北市(選択外国語は中国語[繁体字]のみ)でおこなわれます。 口述試験は、英語、中国語、韓国語を選択した人は、東京近郊、大阪近郊、福岡市でおこなわれます。ただし、筆記試験を東京近郊、大阪近郊、福岡市のいずれかで受験した人は、その筆記試験を受験した地域で口述試験を受験しなければいけません。英語、中国語、韓国語以外の外国語を選択した人は、東京近郊でおこなわれます。

通訳案内士試験の試験免除

所持している資格によっては、通訳案内士試験の一部が免除されることもあります。これに該当する場合は、願書提出時に申請する必要があり、証明する書類のコピーなどを添付することになります。

たとえば、英検1級を持っている人や、TOEICで840点以上の人は、外国語(英語)の筆記試験が免除されますし、他の外国語や、日本の地理、日本の歴史、日本の産業・経済・政治及び文化に関する一般常識の筆記試験が免除される場合もありますので、もしかするとすでに該当していることもありますから、試験勉強を始める前に、募集要項などで確認してください。

通訳案内士試験の出題内容

外国語筆記試験は、外国語文の読解問題、外国語文和訳問題、和文外国語訳問題、外国語による説明問題、単語外国語訳問題などが出題されます。 日本地理筆記試験は、日本の地理について外国人観光旅客が興味のあるような知識が40問出題されます。中学校や高校の地理の内容で、地図や写真を使った問題も出題されます。

日本歴史筆記試験は、日本の歴史について外国人観光旅客が興味のあるような知識が40問出題されます。高校の日本史Bの内容で、地図や写真を使った問題も出題されます。 産業、経済、政治及び文化に関する一般常識筆記試験は、現代の日本の産業、経済、政治及び文化について外国人観光旅客が興味のあるような知識が40問出題されます。高校の現代社会の内容で、時事問題を絡めた問題が出題されます。 ※ 筆記試験の過去問題は、その一部が公開されていますので、日本政府観光局(JNTO)のホームページをご覧ください。

通訳案内士試験の合否基準

通訳案内士試験の合否基準は、平成26年度試験を例にとると、外国語の筆記試験は、70点以上が合格となります。 日本地理、日本歴史、一般常識は、それぞれ60点以上が合格です。ただし、その年の試験の平均点によって合格基準点が変動します。外国語と、日本地理、日本歴史、一般常識のすべてで合格すると筆記試験が合格となり、口述試験に進むことになります。

通訳案内士試験と地域限定通訳案内士試験との併願

通訳案内士試験の外国語筆記試験は、地域限定通訳案内士試験の外国語筆記試験と出題が同じなので、試験結果を共有することができます。ただし、併願が可能なのは外国語科目のみなので、地理、歴史、一般常識の3科目は、地域限定通訳案内士試験をおこなう各都道府県ごとになります。また、地域限定通訳案内士試験をおこなう各都道府県での外国語試験は英語、中国語、韓国語しかありません。

おわりに

通訳案内士は、外国人観光客に日本を案内することが仕事です。この仕事をする人に資格を義務付けたのは、それだけ重要だからではないでしょうか。外国人観光客は、日本の印象とともに、通訳案内士の印象も一緒に母国へ持ち帰ります。責任重大ではありますが、良い思い出づくりのサポートができるといいですね。

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